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大阪ニューアート(NewART)クリニック
院長 富山 達大 先生

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インタビュー

「梅田の地で、患者さまとともに歩んだ17年の実績。
生殖医療の奥深さを知るものだけが提供できる医療があります」

最近では、年間約27万周期もの生殖補助医療(ART)が行われ、3万人を超える赤ちゃんが誕生しています。日本の出生数がおよそ100万人ですので、今やクラスに1人以上の割合で、体外受精や顕微授精、凍結融解胚移植などのART技術による子どもが生まれていることになります。1978年に世界で初めての体外受精児がイギリスで誕生してから35年、世界初の顕微授精の成功から21年、『大阪NewARTクリニック』(大阪・西梅田)院長・富山達大先生の四半世紀にわたる不妊治療医としての人生は、まさに体外受精の成長、成熟の歴史とともにありました。長年の経験が培った目があるからこそ見える患者さまの想い、提供できる医療があると、富山先生は語ります。

技術と知識を生かす「EBM」、人間の尊厳を支える「HUMANITY」が基本概念

「医師になってからの25年すべてを不妊治療に捧げてきましたが、振り返ってみると、この歳月は、まさに体外受精という医療の飛躍的な成長期と見事に重なっています。体外受精が生まれて35年、安全性が確立され、技術革新が起こるのをつぶさに見て、ともに歩んできました。ある程度、健康保険が通る医療として提供される国も出てくるほど、今や体外受精は成熟段階に入った医療だといえるでしょうね。
 私は、体外受精の黎明期にラボワーク(患者さまの卵や精子を取り扱う胚培養室での仕事)を経験しましたが、これは生殖医療指導医となった今でも役立っています。近頃は、卵を育てて採取(採卵)してから胚(受精卵)を子宮内に戻す(胚移植)までの、受精や体外培養といったプロセスは、胚培養士の手にゆだねられますので、この段階の研鑽を積んだ医師は少なくなりましたね」

生殖医療の舞台裏まで知り尽くしておられる富山先生がつくりあげた『大阪NewARTクリニック』に、モットーのようなものはありますか?

「大阪NewARTクリニックを開院して、もうじき17年になりますが、当初から変わらない基本概念が二つあります。一つ目は、“EBM(エビデンス・ベースド・メディスン/根拠に基づいた医療)”。生殖医療に携わるものとして、知識、技術、安全性においては、常に最先端であり続ける努力を怠ってはならないと思っています。しかも、実際に導入し提供する医療は、根拠のある、的確なものでなければなりません。これは、もはや使命だと考えていますので、世界中の学会に参加し、積極的に発表を行うことで、世界レベルでの議論に加わってきました。
 そして、もう一つが“HUMANITY(ヒューマニティ)”です。変わりゆく時代の中、人々の価値観は変化していきます。柔軟に変えるべきものもあれば、流されていけない、変わってはいけないものもあります。生殖医療を提供する人間が、決して見失ってはならないのが、人間の尊厳を支えるHUMANITYの視点なのではないでしょうか」

この二つは、生殖医療を取り巻くめまぐるしい変化の中にあっても、一度も揺らいだことはないと富山先生はいいます。


医療側の都合ではなく、受ける側に最適のテーラーメイドの医療を提供できる自負があります

 この大阪・西梅田の地に『大阪NewARTクリニック』を開院されたのが、1997年4月。この17年間、患者さま、お一人お一人と真っ向から向き合ってきた我々だからこそ、提供できるようになったのがテーラーメイドの不妊治療なのだといいます。

「大阪NewARTクリニックは多くの医師を抱え、チェーン展開するためにマニュアル化した一律の医療を提供しているようなクリニックではなく、すべての患者さまと私が向き合い、その方が抱える価値観やニーズ、ときには文化までも敏感に感じ取りながら、その方に最適な医療を提供しています。どなたに対しても同じ治療を闇雲に繰り返す既製品のような医療でもなければ、医療者として明確な方針を示すことなく患者さまのご希望を叶えるだけのオーダーメイドでもありません。我々は、専門家集団として責任を持って最適な治療方針を示し、患者さまにきちんとご納得をいただいたうえで、治療にあたるテーラーメイドの医療をご提供しています。
 ですから、初診でお話をさせていただく段階で、患者さまの理解度や我々に求めるものなどを深いところまで察知して、その方に合わせたきめ細かな対応をしています。
 最近、元患者さまが、卒院から10年以上経って我々のもとを訪ねてくださいました。ここで授かった双子のお子さんたちは、すくすくと成長され、中学受験を控えておられるというのです。お母さまは、医学部に入ってもらいたい、そしてできれば生殖専門医になってもらえたらと……、膨らむ夢を話してくれました。
 ただ同時に、不妊治療の末に子を授かったあとの苦労話もたくさん聞かせてくださったんです。お砂場デビュー以降の母親グループ内での年齢格差にはじまり、双子の育児に孤軍奮闘する中、すれ違っていった夫との関係など、しんどい想いはずっと続いたと……。出産後のご報告をいただいた後は、年賀状でご様子をうかがうことはよくありますが、実際に訪ねていただける関係が築けたからこそ伺えたお話だと、神妙な想いで聞かせていただきました。そんなご苦労をされながらも、子どもを授かった喜びが彼女を支え、乗り越える力になっていることが伝わってきたことも嬉しかったですね。
 こんなにも長い歳月を経て、再び我々のもとを訪ねてくださる方がいらしたことで、大阪NewARTクリニックで誕生した命が周囲の人々の人生に大きな影響を与えながら、さらなる未来をつくり出していくことをイメージできました。つくづく、いい職業についたなとしみじみ思いましたよ」

名だたる不妊治療施設が軒を並べる大阪にあって、とくに宣伝に力を入れてきたわけでもないのに患者さまが途切れないという大阪NewARTクリニック。口コミで患者さまが来院されていることこそが、自らが提供してきた医療が間違っていないことの何よりの証と思い、今日も目の前の患者さまのがんばりに感謝しながら、スタッフとともにご夫婦に寄り添い、歩み続けていると富山先生はいいます。


理詰めでは、ほぐれない心。
時には視点を変えるリフレーミングも必要です

さらに、HUMANITYを基本概念に掲げる『大阪NewARTクリニック』では、3人の臨床心理士がカウンセリング(予約制)を担当しています。不妊治療中の心のケアはもちろん、痛みに対する恐怖心の緩和を目的にしたペインカウンセリングにも力を入れておられるそう。不妊治療専門施設としては、心のケアに力を入れたさきがけ的な存在でもあります。

「大阪NewARTクリニックでは、赤ちゃんを望むご夫婦が抱える様々なハードルを乗り越えていただけるように、17年前の開院当初から院内にカウンセラーをおいています。カウンセラーは、答えを提供してくれるのではなく、ご自分の気持ちを映す“鏡”。自ら答えを見つけ出し、自分らしい選択をするメソッド(手法)として活用して欲しいと願っています。
 治療に対する不安は、痛みに対するものも大きいですよね。緊張して力の入った状態でつねられるのと、リラックスしている状態でつねられるのでは、痛みの感じ方が明らかに前者のほうが強いんですよ。痛みには、心理的なことが大きく影響しますので、ご不安そうな患者さまには、臨床心理士によるペインカウンセリングをおすすめしています。医師がね、神経を避けて、こんなに細い針でと、理詰めで説明しても、女性の患者さまの不安は解消されませんから。
 ただ我々も、リフレーミング(物の見方の枠組みをガラリと変えること)になるようなお話をすることはあります。例えば、体外受精の卵巣刺激は、我々のクリニックではご自分で腹部に打っていただく自己注射なのですが、この話をすると多くの患者さまは身構えます。でも、世界的に見ても、自己注射ではない病院があるのは日本くらい。“世界の常識は自己注射。むしろ貴方が信じてきた世界のほうが特殊な世界なんですよ”とお伝えするだけで、“あ、自分で注射してもいいし、そちらのほうが普通なんですね”とハッと気づかれ納得されますよ。EBM、すなわち理屈で押し通そうとしても伝わる方とそうでない方がおられる、でも不思議なことに、その方の価値観を認めるHUMANITYで介入していくと、視点を変えることができたり、納得してもらえたりするんですよね。
 みなそれぞれ身体も心も反応が違うんですから、到底マニュアル化なんてできない医療なんですよ、生殖医療は。ただ、安全性の管理だけには、厳密なマニュアル化が必要。その部分だけは、ダブルチェック、トリプルチェックですね」

長年の経験とたゆまぬ努力に裏打ちされた最適なテーラーメイドの医療だからこそ、患者さまの納得を得、患者さまお一人お一人にあった最良の方法を見極めることができ、妊娠という結果が導き出せるのだと、富山先生。

専門家集団として、職業人のプライドを持って各々の仕事に従事できていることこそ、誇り

取材終了間際、「そうでした」とばかりに目を輝かせた富山先生が、『大阪NewARTクリニック』を支えるスタッフについて、こんな話を聞かせてくれました。

「もう一つ、私が大阪NewARTクリニックで“誇り”に思っていることがあるんですよ。うちは、医師、胚培養士、看護師ならびにアシスタント、不妊カウンセリングを行う臨床心理士、本部・受付事務といったスタッフからなる生殖医療の専門家集団ですが、どの部署もみなプライドを持って仕事に従事しています。
“自分は、大切にされて当然”というような個人のプライドは、自我の肥大でジャマなだけ。でも、専門家としてのプライドは、組織が健全に機能するためには不可欠なんです。
 ほら、最近、有名ホテルのレストランが食材を偽って表示していたという偽装事件が、次々と明るみになっているでしょう? あれなどは、料理人としてのプライド、ホテルマンとしてのプライドの欠如が招いた問題です。
 患者さまに提供する医療の質を向上させるためにも、スタッフには専門家としての誇りを持って働いて欲しいと願っていますし、それが実現できていると感じています。プライドのある職場には、偽装もなければ誤表示もありません。安心してお任せいただける専門家集団、それが我々大阪NewARTクリニックです」。

快活な富山先生の笑顔と、クリニック全体が持つ明るい雰囲気には、希望の気配と、夫婦の夢を託したくなるエネルギーのようなものを感じました。


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