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  1. 不妊治療の掲示板&ブログ「子宝ねっと」
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ファティリティカウンセラー
越智彩霧 様

執筆者

越智 彩霧

越智彩霧(おち さぎり)
2007年よりバルセロナ在住。
ヨーロッパで実績No.1と言われる生殖補助医療クリニックにて、医療コーディネーター、医療通訳としての勤務経験あり。これまでにサポートをした日本人女性は200名以上に及ぶ。
患者様の治療をコーディネートしていく中で、「心のサポート」の大切さを改めて感じる。
スペインで取得をしたコーチの資格に合わせ、もともと興味のあった心理学を学ぶべく、上級心理カウンセラーの資格を取得。 傾聴だけでなく、相手の立場にたったカウンセリングを心がけ、特に配偶子の提供を伴う治療を伴う女性やカップルのカウンセリングや自己肯定感(セルフエスティーム)を向上させるカウンセリングを得意とする。

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卵子提供を考える

日本では、現在、体外受精などのARTを受けている女性の3分の1以上が40歳以上という状況にあります。加齢による卵子の質の低下という問題を抱えながらARTを繰り返してもなかなか結果がでず、「いつまで続けよう」「二人だけの道を歩もうか」「養子を迎えようか」と悩む中、「卵子提供を受ける」という選択肢が心をよぎった経験がある方もおられることでしょう。
『子宝ねっと』の掲示板でも、卵子提供を考えつつも、どこから正しい情報を得たら良いのか、悩み混乱される方々の投稿が増えています。
そこで『子宝ねっと』では、ヨーロッパ実績No.1の不妊治療クリニックで医療コーディネーターとしての勤務経験のあるファティリティカウンセラー越智彩霧さんに、『卵子提供』を考えるご夫婦が検討を重ねる際に参考にしていただけるよう、情報提供をお願いしました。

愛群生殖医療センター

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TOPIC 〜日本の卵子提供を取り巻く現状〜

2016年3月現在、日本では、卵子提供などの配偶子の提供を行う不妊治療についての法制化がなされていません。法律上は、「禁止」でも「容認」でもないのです。そのため、日本産科婦人科学会が1983年に出した「体外受精を夫婦に限定する」という会告にのっとって、ごく一部の医療機関を除き、精子や卵子の提供による体外受精は自主規制が行われている状況です。2003年、厚生労働省の審議会が法制化を目指して出した結論は、条件つきで精子ならびに卵子、余剰胚の提供による体外受精を容認するもの(代理母は禁止の方針)でしたが、未だ法律は成立していません。一方、厚生労働省も、「精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療」については制度が整備されるまで、実施を控えるよう学会に求めました。このような状況の中、他国に出向いて卵子提供を受ける、国内の特定の不妊治療施設を頼る、といった選択肢を選ぶ、ご夫婦もいます。

<参考ページ>

知っておきたい「卵子の老化」

毎月の月経さえあれば、いつでも妊娠できる
30歳を超えても「年齢より若く見える」と言われるし、自分自身も健康に自信がある

そんな風に思われている女性は、とても多いと思います。
毎月規則正しい月経があること、そして外見だけでなく内面も若々しく生活をすることは、充実した人生においてとても大切なものです。

しかし、どんなに外見そして心が若々しくても老化をストップさせることができないのが、「卵子」です。卵子の質は、妊娠したい女性にとって、とても重要なものです。

最近では、様々なメディアでも取り上げられるようになり、周知の事実であるかも知れません。それでもまだ「知りませんでした!」というお声を耳にすることもありますので、1人でも多くの女性に、この大切な事実に気付いていただけるようにお話したいと思います。

妊娠は、女性の卵子と、男性の精子が巡り会い起こる命の奇跡です。

女性は、母親の胎内にいるときからすでに卵子(正確には卵子の元となる細胞、原始卵胞)を持っています。その数は、約700万個。しかし、出生時にこの数は約200万個にまで減少し、初潮を迎える頃には、更に減少して20万から30万個に。

そして毎月の「排卵」では1つの成熟卵子が卵巣の外へ飛び出すのですが、毎月その1つだけが減少していく訳ではありません。1つの成熟卵子が用意できるまでに、多数の原始卵胞がホルモンの刺激を受けて目を覚まします。排卵される成熟卵子にならなかったものは、そのまま消失してしまいます。

このように、卵子は私達と一緒に年齢を重ねてしまうだけでなく、数も減少していきます。数ももちろん大切なのですが、妊娠するためにはやはり卵子の質が大きく影響します。

初潮を迎えた女性は、20代が最も妊娠できる能力が高くなり、その後徐々に低下していきます。その低下が顕著になるポイントが35歳です。
その後は、38歳、そして40代からは更に低下してしまいます。
ヨーロッパのクリニックでも、避妊をしない性交渉を続けて1年経過しても妊娠されない場合には、一度生殖補助医療の専門家を受診することが勧められており、女性の年齢が35歳以上の場合には、その期間は半年とされています。

女性の年齢が高くなると妊娠が難しくなってくるのは、卵子が偶発的な染色体の異常を持つ可能性が高くなるためです。つまり精子と出会って受精卵になった場合でも、染色体に異常があると妊娠を継続することができない、若しくは無事に出産につながった場合でも、赤ちゃんに染色体の異常が出てしまう可能性が高くなります。

現代の女性は、勉強にキャリアにとても忙しく、結婚や妊娠・出産を考えるのは35歳以降ということも、まったく珍しくありません。

勉強にキャリアに勤しむ現代の女性は生き生きと輝き、人生を充実したものにするためには、女性の社会進出や貢献はとても大切です。

しかし、「いつかママになりたい」と心のどこかで考えていらっしゃるのであれば、ご自身の体を知っておくこと、体の声に耳を傾けることの重要さを感じていただき、今後のライフプランニングをされることが大切なのではないでしょうか。

「卵子提供」という選択肢

もしも、あなたにとって一番身近な方に
「卵子提供を受けたいと思っている」
と打ち明けられたなら…


そこまでして子供が欲しいのだろうか
危険な治療ではないのだろうか
子供に異常が出てきてしまうのではないだろうか
生まれてくる子供にどう説明するのか

このような考えが頭をよぎる方は多いのではないでしょうか。

卵子の老化とともに、卵子提供を伴う治療について話題になることが多くなりました。実際には、需要の多さと反比例し、正確な情報が不足していること、その中で入ってくる情報で取り上げられるリスクや問題点などのイメージから卵子提供にネガティブなイメージを抱いている方は少なくありません。

生殖補助医療には、様々な治療法があります。

最も自然な形で、排卵のタイミングを医師によりモニタリングしてもらい、性交渉のタイミングを計るのが、「タイミング法」。

事前に採精されたサンプルを洗浄・濃縮し、女性の子宮内へ直接注入するのが「人工授精」。パートナーの精子を使用する場合には、「配偶者間人工授精(AIH)」、提供者の精子を使用する場合には「非配偶者間人工授精(AID)」と呼ばれます。

人工授精を繰り返しても結果が出ない場合、ステップアップの治療段階として、胚培養士がラボラトリーにて、事前に採卵された卵子と精子を受精させる方法である「体外受精」があります。体外受精も、配偶子(精子や卵子)がご本人のものであるのか、提供者のものであるかにより、「配偶者間体外受精」もしくは「非配偶者間体外受精」と区別されますが、日本国内では後者がほとんど行われていないため、こちらの使い分けはあまり目にされないかもしれませんね。

卵子提供が適用されるケースは、早期閉経、卵巣機能不全、予期せぬ病気によって、ご自身の卵子での妊娠が難しくなってしまった女性、加齢に伴う卵子の老化により自己卵子での妊娠が難しい場合などが代表的なものです。

卵子提供に賛成か反対かということではなく、妊娠を心から望む女性にとり、卵子提供はその大切な願いを叶えるための「選択肢」の1つです。もちろん、治療が実施されていく中で、法律やガイドラインの整備はもちろん、信頼出来る専門家や医療機関のサポートが必須であることは言うまでもありません。

私がこれまでにヨーロッパでの卵子提供を伴う治療実績No.1のクリニックにて、医療コーディネーターとしてサポートをしてきた患者様から、多く耳にしたのは下記のような声でした。

必要な情報を正確に提供すること、安心して相談出来る専門家のサポートに加え、心理的な面でサポート出来る専門家(カウンセラー、臨床心理士)のサポートの必要性を強く感じていました。

日本国内での卵子提供を伴う治療は非常に難しく、卵子提供を必要とする女性は日本国外での治療に踏み切る方が多いのが現状です。

治療後の陰性結果への焦り、不安や苛立ち
、パートナーとの度重なる話し合い、根本的な子供を持つことへの想いなど、様々な気持ちを熟考し、話し合いを重ねて、卵子提供を受けるという決断にたどり着きます。このため、この重要な決断を誰かに打ち明けることも、一大決心なのです。

もしも身近な方に卵子提供の決断を打ち明けられたのなら、その方の決断を尊重し、お話にじっくり耳を傾けていただきたいのです。誰にも相談できでき出来ずに大切な決断をするのは、非常に苦しく心細いものです。皆様も「ただ聞いてもらうだけ」で心がすっきりしたという経験があると思います。

最後に、海外での卵子提供治療を検討されている場合の参考として、医療施設を選ぶ際に気を付けたい5つのポイントをご案内します。

■卵子提供を受ける施設選び5つのポイント

  1. 法律、ガイドラインなどがきちんと整備されている国であること
  2. 母国語で正確な事前説明を受けられること、随時質問(医学的なものだけでなく、治療費や手続きなど事務手続き関連も含め)も積極的にできる環境であること
  3. 経験、実績のあるクリニックであること
  4. 可能であれば、日本にバックアップクリニックがあり治療中はもちろん治療後のサポートに問題のないこと
  5. 心のサポートも充実していること

精神的な負担も強くなることの多い生殖補助医療。心も体も準備が整っていると思っていても、治療を進めていく中で、疑問や不安などが生じるのは自然なことです。治療に関し医療スタッフのきめ細やかなサポートがあることはもちろんですが、心のサポートについても力をいれている医療機関を選ばれることをお勧めします。

卵子提供を決断するまでの心のハードル

相手の立場になって考えてみる。

日本の教育では、他人への思いやりや尊敬が行き渡っており、まずは相手の気持ちを考えるという素晴らしい習慣・文化があります。

ただ、実際にはその立場に置かれてみないことには、当事者の本当の気持ちを計ることが難しい場合も、多くあるのではないでしょうか。

卵子提供を伴う治療について、賛成か反対かを述べることは容易なことです。
しかし、この治療を受ける患者様は、たくさんの心のハードルを乗り越えて、治療の決断をされていることをご存知でしょうか。

長年に渡り、配偶者間の体外受精にチャレンジしてきたものの、結果が出ない患者様に対し、欧米では「提供者の卵子を伴う治療」へのステップアップが提案されることがほとんどです。

私の勤める生殖補助医療専門クリニックでも、女性の年齢や検査結果、そしてこれまでの治療履歴によりこの治療法が勧められます。

これまでに立ち会った診察では、涙を流される方、戸惑いを見せられる方、そして時間が必要だとおっしゃる方がたくさんいらっしゃいましたし、想定していなかった治療を突然に提案されて、このような気持ちになるのは自然なことです。

ご想像いただけるとおり、 卵子提供を伴う治療をしよう!と決断することは、容易ではありません。治療後の妊娠・出産は、患者様やご家族のその後の人生に影響し続ける重要な決断だからです。

重要な決断であるからこそ、患者様それぞれが必要な時間をかけて、治療をされるか否かについてじっくりご検討いただけるようご案内しています。

卵子提供を伴う治療の条件は、実施される国により異なりますが、例えばスペインの場合、法律によって配偶子(精子や卵子)の提供は完全に匿名で実施されることが義務付けられ、クリニックから患者様へご案内する情報は、血液型と年齢のみです。このため、お写真等も一切ご覧いただくことができません。

クリニックは長年の経験と実績に基づき、身体的特徴を最優先させた上で 提供者の選択(マッチング)を行いますが、情報提供が限られていることを不安に感じてしまう患者様がいらっしゃることも事実です。

卵子提供を決断されるまでの間、患者様は自問自答やパートナーとの話し合いを重ねる中で、次のような数多くの心のハードルを乗り越えで、治療を進めるか否かの決断をされます。

こちらでご紹介しているものはごく一部ですが、本当に皆様が様々な思いを抱えて、悩み、考え抜いた上で決断していらっしゃいます。

卵子提供に賛成か、反対か。

意見を述べることは、個人の自由であり権利です。しかし、「治療をする」という決断をされた方に対し、その決断を尊重し支え合えることが自然な社会になって欲しいと願っています。

卵子提供を決めてから妊娠まで 〜ヨーロッパの事例から〜

妊娠の願いを叶えるためには、卵子提供を伴う治療しかない。

このような立場に立たされた女性とり、卵子提供を伴う治療を日本国内で行うのは、非常に狭き門であって、また条件によっては不可能であるケースも多いのが現状です。

日本国内での治療が難しいとなった場合、この治療を受けるために残された選択肢は、「海外」での治療です。

どんなに日本語のサービスがあっても、海外で治療を受けるということは非常に大きな不安を伴うものです。
私のように、海外に住んで長い場合でも、医療関係の用語では専門分野を外れると辞書が必須ですし、不安な気持ちになります。

国内のクリニックや病院によっては、卵子提供のエージェンシーやクリニックを紹介してくださる場合もあるようですが、まだまだ消極的なのが現実です。
このため、基本的に情報の収集はインターネットに頼らざるをえません。

妊娠の願いを叶えたい。
卵子提供の可能性を試したい。

この想いから、限られた 情報源から治療可能なクリニック・病院、そして治療仲介のエージェンシーなどの情報を収集し、大切な決断をされます。

アメリカやアジアでの治療についての情報は、インターネットでの紹介もメジャーなようですが、残念ながらヨーロッパは未知の世界なのではないでしょうか。

こちらの記事では、海外での治療をご検討中の方に、ヨーロッパの一例として、私が医療コーディネーターとして勤めるスペイン(バルセロナ)にある生殖補助医療専門クリニックでの事例をご紹介したいと思います。

【ヨーロッパでの卵子提供はベルギーとスペインが有名】

ヨーロッパで生殖補助医療、特に、卵子提供を伴う治療の実績があり有名なのは、ベルギーとスペインです。スペインでは、法律により生殖補助医療そのものがきちんと整備・保護されています。

同じヨーロッパでも、国によって卵子提供が禁止されている国と、許可されている国があります。許可されている場合には、匿名で実施されるものか否かなどが異なります。各国の詳細の事情までは残念ながら存じ上げませんが、これまでに私が対応をしてきたヨーロッパ在住の患者様は、医療のレベルの高さと卵子提供者がアジア人になる可能性の高さから、お住まいの国ではなく、スペインを選んだという方がほとんどでした。

【スペインの卵子提供は完全匿名。医療施設がマッチング】

スペインの卵子提供者の年齢は、18歳から35歳まで。
詳細に渡る健康診断、婦人科検診を受診し、染色体異常を調べる検査(核型検査)も必ず受診しています。クリニックによっては、250以上の遺伝子異常(遺伝性疾患のキャリアであるか否かを検査するもの)も実施しています。

スペインでの卵子提供は、完全に匿名で実施されることが法律で義務づけられているため、治療を実施するクリニックや病院が提供者を選びます。

この時に、最優先されるのは「身体的な特徴」(お顔立ち、体つき、目の色、髪の色や質、肌のトーン)です。
最終的に患者様へご案内できるのは、提供者の年齢と血液型のみ。
また、性別選択を目的とした着床前診断の実施は禁止されています。

【スペインでは医療施設ごとに治療者の年齢制限を設定】

治療を受けられる女性の年齢は、法律では決められていませんが、医療施設がそれぞれに倫理委員会を設け、年齢の制限を定めています。母体の健康、子育てに必要な体力や生まれてくるお子様の幸せを考慮し、最高でも50歳までとリミットを定めている医療施設が多いようです。

【治療費と患者様と提供者の薬剤費で100万円前後】

海外で治療をすることになる場合、渡航費、滞在費、治療費そして薬剤費なども必ず事前に把握しておきたいポイントです。

スペインでの治療の場合、治療費と薬剤費(患者様用、提供者用)を含め、100万円前後のところが多いです。クリニックによっては、保証を付けていたりする場合もありますので、患者様ご自身で事前にお調べいただく必要があります。

【卵子提供の流れ 〜Aクリニックを参考に〜】

それでは、ご参考までに、私がこれまでにサポートしてきた患者様のスケジュールの一例をご紹介します(※クリニックにより治療のプロセスが異なりますことをご了承ください)。

  1. 初診(来院もしくはスカイプ)
    スペインへの渡航回数を1度のみにされたい場合、スカイプでの受診が可能。
    ただし、パートナーの精子を用いる治療の場合は、胚移植のための渡航の際、日程に余裕をもってお越しいただく必要があります。まずは、精液サンプルをご提出いただき、精液検査を実施し、精液の状態に問題がないことを確認します(事前にお手持ちの精液検査など、必要検査の提出が必須)
  2. 必要な検査結果や書類の準備。卵子提供者の選出
    初診までに揃わなかった検査結果、追加で受診の必要な検査結果、その他必要書類をすべてご用意いただきます。
    書類が揃い次第、卵子提供者をお探しします。
  3. 卵子提供者が見つかり次第、治療スケジュールの決定
    患者様のご希望を伺い、治療のスケジュールを組みます。
    卵子はフレッシュもしくは凍結保存(ガラス化凍結保存)されているものの可能性があります。どちらも治療の成功率は同じですので、遠方からお越しの場合、また、お仕事などのご都合でスケジュールの調整が難しい場合には、凍結保存卵子での治療がお勧めされます。
    子宮内膜準備のためのホルモン補充治療及びフォローは、すべてお住まいの国にてお進めいただきます。
  4. 胚移植
    胚移植のタイミングでご来院。ほとんどの場合、余裕をもって3〜4日程度のご来院で十分ですが、初診をスカイプで受診された場合には、1週間から10日程度の滞在が必要です。
  5. 血液検査による妊娠判定
    移植から14日後に血液検査にて妊娠判定を受診いただき、結果によりその後のインストラクションをご案内します。

遠距離にて治療を進めていく間、メールやお電話でのサポートが整っています。

【提供者の情報が公開されるかどうかは国によります】

国によって、治療の条件が異なります。提供者の個人情報の開示もしくは匿名での実施かについては、患者様がとても悩まれる部分です。

治療後の妊娠は、お住まいの国にて通常の妊娠と同じフォロー(定期検診や検査)を受診され、出産に至ります。

卵子提供による妊娠と出産

卵子提供による妊娠は、ハイリスク

そんなニュースを目にすることも、珍しくなくなりました。

それだけ、卵子提供を伴う治療を必要とし、実際に治療を受けている女性が増えて来ている証拠です。

高齢出産が年々進む中、卵子提供を伴う治療について正しい情報を提供できる場所がこれからもっと必要になってくると思っています。

こちらでは、卵子提供による妊娠と出産に関するよくある不安をご紹介します。

【卵子提供は、「他人のもの(卵子)」を使用するので体が拒否反応を起こす】

そんな話を耳にしたことがあります。

卵子提供を伴う治療による妊娠と自然妊娠は、同じように出産までのフォローを行うことで問題なしと専門家は話します。

例えば、血液型に関しての例ですと、卵子を受領する女性がA型で提供者がB型であっても、医学的にはまったく問題ありません。受領者と提供者の血液型の一致は、患者様のリクエストにより尊重されることがほとんどです。

【 卵子提供をすることで、妊娠中から出産までのリスクが上がる】

医学的な理由により、若い女性でも卵子提供が必要なケースはありますが、卵子提供を受ける女性は年齢が高いケースがほとんどです。このため、高血圧の可能性がわずかに自然妊娠の場合より上昇するといわれています。

このような理由からも、特に45歳を超えている女性の場合には、治療後の妊娠及び出産に問題がないかを事前に確認するための、追加検査や診断書が求められる場合もあります。

卵子提供を伴う治療による妊娠だからハイリスクなのではなく、女性の年齢が上がるにつれ、妊娠中そして出産時のリスクも上昇するのであり、卵子提供が妊娠・出産のリスクを上昇させるのではありません。

なお、女性(卵子)の年齢により、胎児のスクリーニングなどの結果が診断されますので、卵子提供者の年齢を医師へお伝えいただくことは非常に大切です。

遺伝的なつながりと親子の絆について

遺伝的なつながりのない子供を愛することができるのだろうか?

卵子や精子の提供を受けることで、このような不安な気持ちを抱えていらっしゃる方はとても多いです。

配偶子(卵子・精子)の提供を受け、妊娠・出産をする場合、卵子もしくは精子の場合には親子間の遺伝的なつながりは50%、両方の提供を受ける場合には0%となります。

実際に治療を受ける患者様のご質問や不安なお気持ちに、これまで寄り添って参りましたが、今日は感動的なエピソードも交えてお届けしたいと思います。

【遺伝的なつながりと親子の関係 −モデリングについて−】

心理学に「モデリング」という定義があります。
これは、モデル(型)にならって真似をする、というものです。

陶芸をするときの粘土を想像してみてください。
最初は形のない、幅も、高さも決まっていない粘土の塊が、そのあと自由に形を変えて素敵な陶器が出来上がります。

遺伝的なつながりによって、親から子へ引き継がれるものは、遺伝的、免疫学的なもの、そして身体的な特徴です。

生まれたての赤ちゃんは、陶芸で言うのなら、最初の粘土の状態です。
その後、どのような環境で成長していくのか、どのような教育を受けていくのか、どのように愛されていくのかによって、変化していきます。

つまり、卵子や精子などの提供を受けて、身体的、遺伝学的、免疫学的にはつながりがない、もしくは50%になる場合であっても、誕生後、実際に生活を共にするご両親から大きな影響を受けて成長していくということが、最も大切なのです。

そして、提供を受けて生まれてくる赤ちゃんは、カップルが望んだからこそ、この世に生を受けた大切な命です。
治療後の妊娠期間中、大切にその命を育み出産をされたからこそ、その尊い命があるのです。

治療後の患者様にとって、

本当に似ているのだろうか……
遺伝的なつながりのない子を愛せるのだろうか……

ご出産まで、そんな不安な気持ちが渦巻いていると思います。

もちろん、この不安があまりにも強い場合には、もう少しじっくり必要な時間をかけて治療をされるか否かをご検討される必要があると思います。治療の前にカウンセリングを受けられることも、1人では抱えきれない不安を解消するのにとても有効です。

【「正真正銘私の子です」感動的なエピソード】

遺伝的なつながりへの不安なお気持ちを伺う度に思い出す、私が実際にサポートした患者様の、とても感動的なエピソードをご紹介したいと思います。

その患者様(Aさんとします)は、最初から何の迷いもなく卵子提供を受けられました。

1度の治療で妊娠・ご出産されました。

Aさんは最初から、「私は生まれてくる子供に、提供を受けたことを話す」とおっしゃっていました。

妊娠が順調に進みご出産され、そのご報告をいただいた時のAさんからのメッセージが本当に感動的でした。

そのメッセージは、

「子供には卵子提供について話す必要がない、と気がつきました。だって私が妊娠して大切に育てて生まれてきてくれた命なのですから、正真正銘私の子です。話さないのではなくて、話す必要がない、そう思ったのです。本当にこの子が愛おしくて仕方ありません」

というものでした。

【お子様の人格形成に大きく影響するのは、誕生後の生活環境や教育】

また、ヨーロッパでは養子縁組もとても多く、スペイン人のご夫婦にアフリカ系のお子様、アジア系のお子様のいらっしゃる家庭も珍しくありません。

見た目は明らかに違っていても、

話し方、仕草、考え方、振る舞い、価値観など、

人生を歩んでいく上で大切な基盤となるものは、明らかにご両親の影響を受けています。このため、外見は違っていても、口癖が似ていたり、仕草や振る舞いがそっくり!という光景をよく見かけます。

このことも、遺伝的なつながりよりも、実際に生活を共にするご両親が、どのようにお子様に関わっていくのかが、お子様の人格形成に大きく影響することをご覧いただける例ではないでしょうか。

もちろん人それぞれ色々な考えがありますし、私は卵子提供を勧めている訳ではありません。
ただ、提供を受けたいけれど、悩んでいる方に、少しでも現場からの情報や声をお届けすることができればと思っております。

卵子提供を受けたこと、将来話す?話さない?

卵子提供を受けて妊娠・出産をされた場合、その事実をご家族やご友人、そしてお子様ご本人に話すか話さないかについて心配される方は多いのではないでしょうか。

今日は、このテーマを下記の2つのパートに分けてお話したいと思います。

  1. 初診(来院もしくはスカイプ)
  2. 必要な検査結果や書類の準備。卵子提供者の選出

この大切なテーマについて、どうすればいいのだろう…と思われている方のご参考になれば嬉しいです。

【1. ご家族、ご友人などへの対応】

何か「秘密」を抱えていると、罪悪感に似た気持ちを抱いてしまうことはあると思います。

「相手を信頼している のに、すべて包み隠さず話をしていない」

そんな風に、私たちのとても誠実な部分が思わせてしまうのです。

しかし、本当にそうでしょうか。

私たちにはプライバシーがあります。
自分自身のプライバシーを守ることができるのは、私たち本人です。

話をする権利と同じように、話をしない権利もあります。
すべての人に平等に与えられている尊い権利です。

ご家族を含め、大切な周囲の方へお話をするか否かは、将来お子様へお話されるか否かにも大きく関わってきます。

もしもお子様に「話さない」という決断をされた場合、ご家族や周囲の方に話してしまうことで、ご両親以外から卵子提供の事実をお子様が知ってしまう可能性もゼロではありません。

また「罪悪感を感じたくないから」という理由で、大切な人へ打ち明けてみたものの、相手の心の準備ができていなくて

思った様な温かい反応ではなかった
反対されてしまい、余計に心が苦しくなった


というケースもあります。

【2. お子様ご本人への対応】

子供には話した方がいいのでしょうか?

これまで、多くの患者様からこのご質問をいただきました。

卵子提供を受ける、遺伝的なつながりがない(もしくは50%)という親子関係を目の前にして、戸惑う気持ちが出てくるのは当然のことだと思います。

お子様に将来話をするのか否か、ということを考える時に大切なポイントが2つあります。

まず1つめの、「お子様の幸せを尊重した上での決断」なのですが、先述の、ご家族やご友人へお話をされるか否かという部分とも重なるもので、話をするというご決断が、罪悪感から来ているものではなく、お子様の幸せを考え、尊重された上でのご決断であることが重要です。

特に、どのような環境(生活環境、国や文化)で今後生活をされていくかによっても、お話されて問題ない場合、お話することで生活に困難が生じてしまう場合も予測されます。

ご両親に最優先いただきたいのは、お子様の幸せを尊重いただくということです。

そして2つめの「話すタイミングを重視すること」。
お話をするタイミングは、幼児期が最適なものと考えられています。

特にヨーロッパで「話をする」と決断されるカップルの場合、幼児期から絵本などを使い、生殖補助医療についてお話をされるケースがあります。また、カップルがオリジナルの物語で絵本を作り、お子様にお話をするケースも多いです。

物心がつく前から、自然にお話をしていくケースと、同じ幼児期でももう少し物事の判断ができる3歳頃のタイミングでお話をされるケースもあります。

お子様それぞれの成長の様子、理解度や興味などに合わせて、ご両親が検討しフレキシブルに対応していく必要があります。

お子様に話をする場合に、絶対に避けなくてはいけないのが思春期です。
子供と大人の境目で、とても敏感な年頃。
1人の大人としての人格や個性もますます開花する時期です。

この時期に、両親からこの大切な告白をされることで、

これまで隠しごとをされていた
血のつながりがない、自分は一体何者なんだろう


というようなショックや怒りにつながる恐れがあるからです。
そしてそこから、お子様ご本人のアイデンティティーやセルフイメージを大きく傷つけてしまうことにもなりかねません。

卵子提供を受けたという事実を、話すのか、話さないのか。

これはお2人の大切なご決断です。
お2人の考えはもちろんのこと、生活をされている環境や周囲のサポートなどを考慮し、お子様の幸せを最優先させた上で、大切なご決断をされることをお勧めいたします。

色々な家族の形があるということ

新しい家族を迎えたい。

そう思ったときに、現在では、色々な方法で家族を迎えることができます。

自然妊娠で妊娠を試みる方法、
生殖補助医療を受けて妊娠を試みる方法、
代理母出産、そして、養子縁組という方法も、
新しい家族を迎えたいと思った時の、一つの方法です。

生殖補助医療の中でも、治療は様々で、
配偶者間のもの、非配偶者間のもの、代理母出産などがあります。
治療による妊娠が難しい場合の選択肢が、養子縁組です。

コラム最終回は、海外の養子縁組についてお話ししたいと思います。

ヨーロッパに住んでいて思うのは、養子縁組がとても身近なものであるということです。

例えば、こちらでは必ず保護者が子供の送り迎えをするのですが、その登下校時の 校門付近には、アジア系やアフリカ系の子供を連れたスペイン人の家族も珍しくありませんし、「今養子縁組の準備中でとても楽しみなの」と嬉しそうに、新しい家族を迎える喜びを耳にするケースも少なくありません。

養子縁組や生殖補助医療について、子供にわかりやすく説明するための本もありますし、児童専門のカウンセラーなどの専門家も多くいますので、養子縁組という家族の形を社会全体でサポートしている印象があります。

遺伝的なつながりへの不安は、配偶子(精子や卵子)の提供を伴う治療においても、よくあるものです。養子縁組の場合には、子供の年齢によっては、順応していくまでにとても難しいケースももちろんあります。

そのような中でも、家族そして社会のサポートを受け、新しい家族として子供を迎えることができる環境なので、親子は強い絆を築き、外見こそ異なる場合でも、仕草や話し方が瓜2つという光景を目にしたことが何度もあります。

隣国がとても近いヨーロッパは、普段の生活の中から、色々な国の人に出会う可能性もとても高いこともありますし、もともと個人の意見や選択を尊重する文化だからこそ、養子縁組が特別扱いされないということもあります。

私たちの脳は、「未知のもの」「これまで身近になかったもの」「経験したことがないもの」を危険と認知し、 「拒否」する「遠ざかる」という形で、身を守ろうとします。

自然な形で子供を望むカップル、
治療に臨み願いを叶えようと試みるカップル、
子供は持たないという決断をするカップル、
代理母出産を決断するカップル、
そして、養子縁組を考えるカップル。

家族の形にも色々あるということ。
自分の知っている家族の形を他人に押し付けないこと。

もちろん、カップルに意見を聞かれた場合には、「私はこう思う」という素直な意見を伝え、そのうえでそっと見守り、カップルの決断を尊重し、幸せを願うことは大きな支えになるでしょう。

守るべきガイドラインや法律を遵守することはもちろんですが、その中で、 子供を望むカップルが肩身の狭い思いをすることなく、家族としての大切な決断のできる環境が、これから更に整っていけばとヨーロッパの片隅から願っております。

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