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体外受精 IVFとは?

体外に採り出した卵子に精子を振りかけることで自然に受精した卵を、子宮内に戻して着床を期待する高度生殖医療技術(assisted reproductive technology/ART/アート)を体外受精(In Vitro Fertilization/IVF)といいます。

ARTがこれまでに試してきた人工授精(AIH)までの一般不妊治療と大きく異なる点は、確実に卵子と精子が出会うことです。

一般不妊治療では、排卵のタイミングに合わせて、精子を送り込むことはできても、本当に排卵された卵子が卵管内に採り込まれるのか、
すなわちピックアップに成功するのか、
また精子が卵子のもとにたどり着くことができるのか、
そして精子は卵子の中に潜り込み受精に成功するのか、
果たしてその受精卵に胚盤胞まで育つ生命力はあるのかは、
確かめる術がないのです。

ところが、体外受精のようなARTであれば、胚培養士(エンブリオロジスト)の目によって、それぞれの妊娠に向けたプロセスが問題なく進んでいるかどうかを確認することができます。

そのような意味では、ARTには不妊検査の側面もあるといえるでしょう。

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体外受精は、こうして生まれた(歴史的背景)

1978年、イギリスで世界初の体外受精による赤ちゃんが誕生しました。

卵管の異常によって、9年間もの不妊に悩んでいた夫婦に対して、 卵子を体外に採り出して受精させた卵を子宮に戻すことで、卵管を使わずに妊娠を目指すという、 実に大胆な発想の治療を行ったのです。

生理学者ロバート・G・エドワーズと産婦人科医のパトリック・ステップトーが、 12年の歳月をかけて行った研究が、見事に実を結んだ瞬間でした。

赤ちゃんの名は、ルイーズ・ブラウン。
ステップトーは、「世界中の人々と喜びを分かち合う」という意味で、 その女の子に『Joy(喜び)』というミドルネームを贈ったのだそうです。

のちにルイーズの妹も体外受精で生まれ、今では姉妹二人ともが自然妊娠でわが子を出産しています。

またエドワーズは、この業績が評価され2010年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

日本では、ルイーズ誕生から5年後の1983年、東北大学が国内初の体外受精に成功しています。

こんな二人におすすめします(適応)

下記のような症状のあるお二人は、そろそろ体外受精にステップアップされたほうがいいかもしれません。

日本産科婦人科学会では、体外受精や顕微授精の適応を「本法以外の治療によっては妊娠の可能性がないか極めて低いと判断される夫婦を対象にする」とだけ定めていて具体的な基準を決めていませんので、施設によって適応基準の内容が異なります。ここでは、欧米のガイドラインを参考に一般的な基準をご紹介しておきましょう。

【卵管性不妊】

卵管がつまっている(卵管閉塞)、卵管の先端(卵管采)が癒着して液体がたまっている(卵管水腫)など卵管の通過性に問題のある方で、卵管形成術(手術療法)の成功が難しい場合。また、通過性は保たれていても卵管機能が失われている可能性のある方や、卵管手術後の方で、2年以上不妊期間がある場合に適応されます。

【長期間の不妊(原因不明不妊)】

一定期間の一般不妊治療(タイミング法を半年〜1年、人工授精を6回程度)を行ったにもかかわらず妊娠にいたらなかった原因不明不妊。また、欧米では不妊治療未経験でも原因不明不妊で3年以上の不妊期間がある場合は、ARTの適応とする考え方もあります。さらに、奥さまが36歳以上で高齢の場合には、その不妊期間がもっと短くても適応になります。

【男性不妊】

精子の濃度がかなり低い、精子の運度率がかなり悪いなど、人工授精(AIH)などによる自然の受精が難しいと思われる男性不妊。施設によってARTの適応基準の数値は異なりますが、総運動精子数が100万〜1000万個で不妊期間が2年以上ならば体外受精の適応とするところが多いようです。

【子宮内膜症】

軽度もしくは中度の子宮内膜症が疑われる場合は、原因不明不妊と同様に考えます。重度の子宮内膜症の場合には、卵管性不妊と同様に対応します。

【免疫性の不妊】

奥さまの抗精子抗体(女性が精子を異物と認識したために産生される抗体で、精子の機能を障害する可能性のある抗体)が陽性で、その抗体価が高く、不妊期間が2年以上ある方。奥さまが36歳以上で高齢の場合には、不妊期間が2年以下でも適応。精液検査では問題がないのに、何度、フーナーテストを受けてみても、常に結果が不良になる方は、抗体を持っていないかどうか抗精子抗体検査(血液検査)を受けてみましょう。

体外受精の流れ

体外受精(IVF-ET)を行う場合には、通常、次のような流れで行います。

【1. 前周期の処置】

低用量ピルを服用し、次周期の卵育てにベストの環境を整えることもあります。

【2. 卵育て(卵巣刺激)】

採卵周期の月経3日目より、排卵誘発剤による卵巣刺激をスタートします。

【3. 卵子を体外に取り出す採卵(OPU)】

卵子の最終成熟を促すhCGを注射し、卵胞液ごと奥さまの卵子を注射針で吸引して体外に採り出します。

【4. 精子の採取(採精)と洗浄濃縮処理】

ご主人さまにマスターベーションで専用容器に精液を採取してもらい、洗浄・濃縮処理を行います。

【5. 卵子に精子を振りかけます(媒精)】

体外で、奥さまの卵子にご主人さまの精子を振りかけて、自然な受精を期待します。

【6. 採卵翌日の受精確認】

採卵翌日に、卵子由来の前核と精子由来の前核が見られれば、受精成立と判断します。

【7. 体外での培養と受精卵の分割】

受精卵を培養。採卵2、3日目には4〜8細胞(初期胚)、採卵5日目には胚盤胞にまで分割します。

【8. グレードの良い受精卵(胚)の選別】

胚の分割スピードと形状から胚にグレードをつけ、より着床率が高いと思われる良好胚を選びます。

【9. 胚の凍結保存】

奥さまの子宮内に戻す胚を選び、残った胚を凍結保存します。子宮内に胚をすぐに移植せずに、すべて凍結保存することもあります。/

【10. 着床を助ける孵化補助(AH/アシステッドハッチング)】

移植前に卵の殻(透明帯)を薄くしたり、破いたりして胚の脱出(ハッチング)を助けることもあります。

【11. 胚を子宮内に戻す胚移植(ET)】

  • 新鮮胚移植… 初期胚もしくは胚盤胞を、採卵をした周期に奥さまの子宮内に戻し、着床を期待します
  • 凍結融解胚移植… 採卵周期以外の周期に理想的な子宮内膜環境を整えて、凍結融解した胚を戻します。
    ※日本産科婦人科学会は、多胎妊娠を避けるため1周期に子宮内に戻すことができる胚の数を「原則として単一」とし、「35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する」と定めています。

【12. 妊娠を後押しする黄体補充】

黄体ホルモン剤(内服薬、注射薬、腟坐薬)を使い黄体ホルモンの作用を高めることで、着床を促し流産を防ぎます。

【13. 妊娠判定とhCG】

着床は採卵の約1週間後。月経予定日頃には、胎盤になる組織から分泌されるhCGで妊娠判定可能になります。

【14. 妊娠の成立】

妊娠5週に子宮内に胎嚢が確認されれば臨床的妊娠。妊娠6週に胎芽の心拍が確認されれば妊娠成立となります。

欧米と日本のART管理の違い

イギリスでは1990年に、アメリカでは1992年に、体外受精や顕微授精などARTに関する法律が制定され、政府の公的機関によってARTが適正に実施されているかを監視しています。また、いずれの国も全国統計のみならず個別の治療施設の臨床成績が、インターネットで公表されているのです。

アメリカ:疾病管理センター(CDC)
http://www.cdc.gov/ART/
イギリス:HFEA (Human Fertilization and Embryology Authority)
http://www.hfea.gov.uk/

日本では、いまだにARTに関する法整備が行われていません。ARTを行うためには日本産科婦人科学会への登録が必要ですが、監査制度はありませんので登録施設として認可されたことが一定の医療水準に達していることを保証するものではないのです。

個々の登録施設は、毎年、日本産科婦人科学会に臨床データを報告しており、学会から全国統計が公表されています。各施設で出産までの経過を追ってから学会にデータを報告し、それが集計されたのちに公開されますので、最新のデータでも約2年前のものになります。

体外受精の妊娠率

全国で体外受精新鮮胚移植を試みた夫婦100組のうち赤ちゃんを抱けたのは約7組

2010年に全国で行われた体外受精は、IVF-ETのみで65,239件(周期)ありましたが、採卵が行われた回数が62,606件(治療をスタートしたケースの96.0%)、新鮮胚移植が行われた回数が27,378件(治療をスタートしたケースの42.0%)となっています。

治療開始した周期に新鮮胚移植にいたる割合5年前と比べてみると、2005年は68.5%でしたので、近年かなり低くなっていることがわかります。これは、治療を受ける女性の高齢化が進んでいる影響もゼロではないと思われますが、それ以上に、得られたすべての胚を凍結保存して、採卵周期ではなく、子宮内膜が理想的な状態の周期をねらって凍結融解胚移植を行うという作戦を選択している施設が急増していることの現れでしょう。

2010年に行われた IVF-ETで新鮮胚移植を行ったケースうち、妊娠にいたったのは6,484件ですので、移植周期あたりの妊娠率は23.7%、採卵周期あたりの妊娠率は10.4%、また統計として発表はされていませんが治療開始周期あたりで考えると9.9%になります。

さらに、出産にいたったのは4,395件(妊娠あたり流産率は23.9%)ですので、移植周期あたりの生産率は16.1%、採卵周期あたりの生産率は7.0%、また統計として発表はされていませんが治療開始周期あたりで考えると6.7%になります。つまり、体外受精にチャレンジされて新鮮胚移植を行い、赤ちゃんを胸に抱けた方は、100組中7組ということになります。決して高いとはいえない値に、愕然とされた方も多いのではないでしょうか。

全国で凍結融解胚移植を試みた夫婦100組のうち22、23組が赤ちゃんを抱けています

ところが、凍結融解胚子宮内移植(受精方法が通常の体外受精か顕微授精かの区別なく統計処理されています)の治療成績をみてみますと、2010年は82,269件(周期)行われていて、そのうち移植が行われた回数が79,944件(治療をスタートしたケースの97.2%)、妊娠にいたったのは26,905件ですので、移植周期あたりの妊娠率は33.7%と、新鮮胚移植に比べ10%も高い妊娠率を示しています。さらに出産にいたったのは17,883件(妊娠あたり流産率は25.5%)ですので、移植周期あたりの生産率は22.4%になります。凍結保存していた胚を融解して子宮内胚移植を試みた100組中およそ22、23組は、赤ちゃんをうちにつれて帰ることができたということを意味しているのです。

このことからも、凍結融解胚子宮内移植の有効性がうかがい知れますね。良好胚は積極的に凍結保存に回して、グレードが低いものから選択的に新鮮胚で戻すという方針の施設もありますので、それが新鮮胚移植の成績を下げている可能性はあります。また、質・数ともに凍結保存が可能なだけの胚ができたということ自体が、新鮮胚移植の選択肢しかなかったケースに比べて諸条件がいいともいえるのですが……。

日本産科婦人科学会 平成23年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告
(2010年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2012年7月における登録施設名) http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/Rinri_report6409.pdf

体外受精の費用

ARTは自費診療のため料金設定には差があります

健康保険が適用される治療も多い一般不妊治療と違って、体外受精のプログラム中に用いられる薬剤費や処置は、すべて保険が適用されず全額自己負担(自費診療)になります。

大学付属病院などでは比較的費用が低い傾向にあり10万円台で実施しているところもあるようですが、不妊治療専門施設では余剰胚の凍結保存まで含めて1周期あたり総額40〜60万円程度必要になる施設が多く、中には100万円近くかかるところもあるようです。

採卵や胚移植といった処置の価格は各施設が自由に設定できるため、これだけ治療費に幅がでるのです。

なお、採卵、胚移植、胚盤胞までの長期培養、胚凍結保存など、細かく治療段階毎に費用を設定し、途中でキャンセルが発生した場合には、そこから先の費用がかからないような料金設定をしている施設がほとんどです。また、反復不成功例では採卵費用が安くなる、また採卵個数や顕微授精の授精個数、凍結本数などによって費用が段階的に変わるといった配慮をしている施設も多くみられますので、医療施設を選ぶ際には参考になさってください。

体外受精の合併症

体外受精にともなって起こりえる合併症を、あらかじめ承知しておきましょう。

【卵巣過剰刺激症候群(OHSS)】

OHSSは、排卵誘発剤の投与によって卵胞が過剰に発育したため黄体期に卵巣が腫れることで、腹水がたまったり、胸水がたまったりする症候群です。35歳以下の若い方、やせ型の方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は、リスクが高いといわれていますので、あらかじめ担当医から説明を受けておきましょう。
くわしくは……「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と回避策」へ

【採卵時の麻酔による合併症】

採卵中の痛みを軽減するため、通常は比較的安全な鎮痛剤、鎮静剤、麻酔薬が使われていますが、アレルギー症状が出る場合があります。あらかじめわかっているアレルギーや喘息の既往歴がある方は、担当医に自ら伝えておくことが大切です。 麻酔の深刻な合併症として、呼吸抑制、血圧低下、ショックなどの生命にかかわる重篤な症状が起こりえます。そのほかの合併症として、点滴部位の一時的な局所の腫れやしびれ、麻酔薬の副作用による悪心(採卵当夜、または翌日まで麻酔の影響が残り、気分が優れないことも)や嘔吐、まれに一時的な血栓性静脈炎を発症することがあります。麻酔当日の自動車の運転は禁忌です。

【採卵針によるトラブルと出血】

採卵は、経腟超音波での画像を確認しながら慎重に行われますが、血管、子宮、卵管、腸管を誤って穿刺してしまうことがありえます。穿刺部の出血が止まりにくく、腹腔内出血が多量の場合には、緊急手術輸血が必要になることも。また、膀胱を穿刺することで血尿が出たり、膀胱内出血に対する処置が必要になったりすることがあります。

【採卵後の炎症と腹痛】

採卵後、卵巣、腹腔内、骨盤内に炎症を起こすことがあります。炎症が重症化した場合は、開腹手術を行うことがあります。 採卵後、腫れた卵巣がねじれること(卵巣嚢腫茎捻転)によって激痛を感じることがありますので、その場合は至急、治療施設に連絡してください。

【多胎妊娠】

多胎妊娠を防止するため、日本産科婦人科学会のガイドラインでは、胚移植数を「原則として単一とする。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する」と限定しています。このガイドライン下で行われた体外受精での妊娠例のうち、多胎妊娠の割合は約5%です(※日本産婦人科学会の平成23年度倫理委員会報告より)。自然妊娠での多胎妊娠の割合は1%前後といわれています。 なお、非常に低い確率ですが、単一胚移植でも一卵性双胎による双子、2個胚移植でも一卵性双胎による三つ子以上になる可能性はあります。

【異所性妊娠(子宮外妊娠)】

胚移植では、子宮の中に胚を戻すにもかかわらず、化学的妊娠例の約1〜2%異所性妊娠(子宮外妊娠)になります(※日本産婦人科学会の平成23年度倫理委員会報告より)。とくに卵管の機能が低下している方は、その確率は高くなります。その場合は、入院のうえ手術が必要になることも。
くわしくは……「異所性妊娠(子宮外妊娠)とは」へ

【先天異常・遺伝的リスク】

現在までのところ、胎児異常の発生率や出生児の発育は、自然妊娠と変わらないと報告されています。ただ、その一方で体外受精によってできた子どものほうが胎児異常の発生率がわずかに高いという報告もありますので、まだ完全には判明していない点があるとお考えください。

体外受精のプログラム中に起こるかもしれない問題

  • 卵巣刺激を行っても卵胞が育たず、採卵がキャンセルになることがあります。
  • 非常にまれに、採卵直前に排卵してしまい、採卵が中止になることがあります。その場合は、医師の判断もしくはご夫婦の希望で、人工授精に変更することもできます。
  • 卵胞が育っても中に卵子がなく、卵子が採取できないことがあります。
  • 精子数が十分にあっても、媒精では受精しないことがあります。
  • 採取した卵子すべてが受精するわけではありません。
  • 受精しても分割が途中で止まることがあります。
  • 良好な分割をしないことがあります。
  • 正常な受精卵ができず、胚移植が実施できないことがあります。
  • OHSS (卵巣過剰刺激症候群)の悪化が予想される場合や採卵前の血中黄体ホルモン値が上昇している場合には、胚移植を中止し、すべての受精卵を凍結保存することがあります。
  • 胚移植用カテーテルが子宮内に入らない場合は、針で腟壁と子宮筋層を貫いて子宮内膜に胚移植を行うことがあります。
  • プログラム中に天災や不可抗力的要因で、受精卵がダメージを受けることがあります。
  • プログラム中断のダメージを最小限にとどめるため、急遽、受精卵の凍結保存を行うことがあります。

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