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男性不妊

非閉塞性無精子症(NOA)

どんな病態なの?

非閉塞性無精子症(NOA)は、精管に閉塞がなく、射出精液中には精子がまったく出てこない状態です。精巣内では精子がわずかながらもつくられている場合、精子形成の途中で成熟が止まっている場合(成熟停止)、まったくつくられていない場合(セルトリ細胞単独症)があります。

精巣の大きさが小さく、ホルモン検査で下垂体から分泌されるFSHの著しい上昇(高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)、もしくは著しい低下(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)が見られた場合には、非閉塞性無精子症であることが予測されます。
高ゴナドトロピン性性腺機能低下症の原因で最も多いのは、男児500人〜1000人に1人とされるクラインフェルター症候群(47,XXY、48,XXXYなどの染色体異常)です。無精子症全体の約37%が、このクラインフェルター症候群だといわれています。そのほか、成人になってからのおたふく風邪で精巣炎になったことが、非閉塞性無精子症の原因になることもあります。いずれにしても、精巣の造精機能そのものに問題があると高ゴナドトロピン性性腺機能低下症になります。

また、脳下垂体からのFSHやLHが分泌されていない低ゴナドトロピン性性腺機能低下症のように司令塔のほうに問題があることもあります。
なお、ゴナドトロピン値が正常でも、ごくまれにY染色体の特定部位の微小欠失により、精巣内での精子の形成が途中で止まってしまっている成熟停止(非閉塞性無精子症)のケースが含まれていますので、精子回収法を行う場合には十分な説明を受けることが必要になります。

妊娠するためには、どんな方法があるの?

【低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に対するhMG/rFSH-hCG療法】
下垂体からのゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)がうまく分泌されていない方には、精子をつくるために必要なFSH成分を含むhMG製剤もしくはリコンビナントFSH製剤とLH作用のあるhCG製剤を、1週間に1〜2回、長期間(2カ月〜1年に及ぶ場合も)にわたって注射するhMG/rFSH-hCG療法が有効なことがあり、射出精液の中に精子が出現する効果が期待できます。ただし、精巣の萎縮や乳房の女性化などが起こった場合は、使用を中止します。

【精巣もしくは精巣上体の精子を回収して顕微授精を行います】
精子回収法を使って、精巣内や精巣上体から精子を採取し、顕微授精(ICSI)を行います。1個でも生きた精子が回収できれば妊娠も期待できますので、精液検査で無精子症とわかった段階で、わが子をあきらめる必要はないのです。ただし、精巣内での精子形成が精母細胞までで止まっている成熟停止や精祖細胞もないセルトリ細胞単独症などの場合は、たいへん残念ですがご主人と遺伝的につながりのあるお子さんは望めません。

【夫以外のドナー男性から精子の提供を受けて非配偶者間人工授精(AID)を行います】
少なくとも妻との遺伝的つながりのある児を得たいという希望がある場合には、夫以外のドナー男性から精子の提供(※)を受けて人工授精を行う非配偶者間人工授精(AID)が選択されることがあります。AIDを実施する施設は、日本産科婦人科学会への登録制になっており、限定されています(2014年7月31日現在で15施設)。 感染予防のため、凍結精子を用いるのが一般的。

※日本産科婦人科学会は、2013年1月に“厚生科学審議会報告書に基づき、国が、夫婦に対するカウンセリング体制の充実、民法上の「親子関係規定」等の法整備、子の「出自を知る権利」を保証するためのガイドラインを含めて、「精子・卵子提供による生殖医療」が適正に行われるための枠組みをすみやかに整備していくよう、引き続き求めて行きたい”との声明を出しています。

後期精子細胞を使った顕微授精(ICSI)

精子は、精巣内で精粗細胞→精母細胞→精子細胞(未熟な円形精子細胞と、成熟精子に近い後期精子細胞に大別できます)→成熟精子の順で形成されていきます。ところが、この精子の形成が途中で止まり、成熟停止となってしまう方がいます。精母細胞の段階で止まる症例がほとんどですが、後期精子細胞の段階まで精子形成が進んでいるケースも、非常にまれではありますが存在します。後期精子細胞は減数分裂が完了していますので、顕微授精に用いることで子どもを授かることが理論上は可能で、実際に国内での出産例もあります。

ただし、日本産科婦人科学会では平成9年に「精子細胞を用いた顕微授精の応用も考えられるが、その安全性および確実性の点からも現時点での臨床応用は時期尚早と考えられる」との会告を出していて、15年経った今も、新たなガイドラインは出されていません。そのため現在も、未熟な精子細胞を使った生殖医療は控えられています。

ごく限られた施設で実施され、胚移植あたりの妊娠率や流産率などの成績も公開されていますが、この値には、精巣内精子採取法にチャレンジした結果、精子も後期精子細胞も見つからなかった方や見つかっても受精せずに移植できていない方は計算に入っていません。

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